銀行が手掛けるカードローンの低金利競争が過熱している。オリックス銀行は期間限定で利息分を全額キャッシュバック(現金還元)するキャンペーンを始めた。ネット銀行を中心に最低金利を年1~2%台に引き下げる動きが相次いでいる。もともと住宅ローンより利ざやを稼げるとみて各社が力を入れてきたカードローンだが消耗戦の様相を呈しつつある。
低金利競争の火蓋を切ったのは、ネット銀行最大手の住信SBIネット銀行。昨年7月に貸出金額の大きさや同社の住宅ローンを利用しているなどの条件を満たした顧客について最低金利を従来の3.5%から1.99%へと引き下げた。
その後、今年4月に横浜銀行が3.5%だったのを1.9%に引き下げて対抗。6月には三菱東京UFJ銀行とKDDIが出資するじぶん銀行も、1.9%に引き下げた。楽天銀行も期間限定で一気に金利を半減するキャンペーンを実施し2%台半ばに引き下げた。さらに7月にはソニー銀行が4年ぶりにカードローンの新規申し込みを再開したことで、より競争が激しくなった。
そんな中、オリックス銀が8月20日に始めたのが「利息全額キャッシュバックキャンペーン」だ。10月30日までに新規で申し込み、12月10日までに返済するローンについて、限定で利息を全額現金還元する。期間中の金利は実質0%となる。
ネット銀などがここまでカードローンの取り込みに力を注ぐのは、利ざやの稼げる運用先がなかなかないためだ。メガバンクのように国内外の法人向け融資を大きく伸ばせない。個人向け住宅ローンも低金利競争に陥っている。
そこで各行が目を付けたのがカードローン。景気回復で返済余力が出てきたこともあって、国内銀行のカードローン貸出残高は約4兆7000億円と5年で4割増えた。
競争過熱で懸念されるのが「貸しすぎ」「借りすぎ」の問題だ。
消費者金融会社の場合、貸金業法で個人は年収の3分の1しか借りられないルールがある。だが銀行のカードローンはこの適用外。そのため、借入限度額の上限を800万~1000万円程度と、高く設定する銀行が目立っている。
最近は各社ともネットで申し込みが完了できる。300万円以下の貸し出しで年収証明書を不要としたり、即日融資を受け付けたりする銀行も出てくるなど借り入れの「敷居」は下がっている。
消費者にとって利便性は高い半面、借りやすくなるほど多重債務や破産に至る危険性は高まる。貸し倒れが増えれば銀行にとってもマイナス。貸し手と借り手の両方に注意が必要と言えそうだ。