財務省が8日発表した7月の国際収支状況(速報)によると、モノやサービスなど海外との総合的な取引状況を表す経常収支は1兆8086億円の黒字だった。黒字額は前年同月の4036億円から大幅に拡大した。黒字は13カ月連続で、7月としては2010年以来5年ぶりの高水準だった。QUICKがまとめた民間予測の中央値(1兆7689億円の黒字)を上回った。引き続き原油など資源価格の下落が寄与した。企業が海外子会社や投資先から受け取る配当金収入などにあたる第1次所得収支の黒字額も拡大した。
7月の貿易収支は1080億円の赤字だった。赤字幅は前年同月の8582億円から縮小した。米国向けの自動車輸出などが伸び、輸出額が6兆5448億円と、2868億円(4.6%)増えた。一方、輸入額は6兆6529億円と、原油安の影響で4634億円(6.5%)減った。
第1次所得収支の黒字は前年同月比3658億円(19.6%)増の2兆2312億円となった。1985年以降7月として過去最大だった。
旅行や輸送などのサービス収支は1836億円の赤字だった。前年同月から2702億円赤字幅が縮小した。内訳の「旅行収支」が1295億円の黒字と、単月で過去2番目の黒字額になった。「知的財産権などの使用料」の黒字額も7月として比較できる1996年以降で最大になった。〔日経QUICKニュース(NQN)〕