【ベルリン=共同】ドイツ紙ウェルト日曜版(電子版)は20日、内戦が続くシリアからドイツに流入した難民らの中に、過激派組織「イスラム国」(IS)の側で戦ったと主張するシリア人の男がおり、ドイツの治安当局が捜査を始めたと伝えた。
ドイツには9月に入って以降、数千人単位の難民らが連日押し寄せており、難民らの身元確認が不十分になっているとの指摘がある。ドイツは欧州で相次いでいる過激派によるテロを警戒、政府が国境での入国審査を復活させた一因にもなっている。
デメジエール内相は13日に入国審査復活を発表した際、テレビ各局に出演し「誰が入国しているかを確認する必要がある」と強調した。
男は東部ブランデンブルク州の難民向けの宿泊施設にいるとみられ、周囲にISの一員として人を殺した経験などを語ったという。周りにいた難民らが男の話す様子を携帯電話で撮影し、捜査の端緒となった。当局は、男が本当にISのメンバーだったかどうかを調べている。
一方、同紙によるとインターネット上では、難民らに紛れて欧州に来たとされるイスラム過激派の多くの写真が拡散されている。しかし当局が捜査した結果、ほとんどは取り違えや、極右勢力などが社会不安をあおるために偽造した写真とみられる。