春香クリスティーンさん=恵原弘太郎撮影
3月8日は国際女性デー。タレントの春香クリスティーンさんは「女の子であることに縛り付けられることはない」と語ります。
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食事会でサラダを取り分けるの、できないっす。
盛り付けが上手じゃないから、ぐちゃっとなりそうで。食べたい具材を、自分のタイミングで取ればいい。
手作りのクッキーやケーキを他人に配って、食べさせる勇気もない。「なんかあっても、責任はとれない」って思います。
実は、スイスで育った子ども時代からずっと、自分が「女の子」だということを意識したことがないんです。
スイスでは、服装も含めて「女子」を意識することがなかったので、高校生で日本に来た時は「女子高生」というカテゴリーに接して、独特のファッションや語尾に「なに?」「なんで普通にしゃべらないの?」と驚きました。でも、同級生たちに溶け込めず、自分にとっては「ひとごと」のままでした。
スイス出身で、日本にもルーツがあって、こんな顔立ちをしていて、政治に興味があって、部屋の片付けが苦手で、いま25歳で……。女性であることは、私が持っているたくさんの「個性」のなかの一つにすぎません。
なのに、日本では女性自身が「性別」を重くとらえすぎて、縛られている気がします。「女子力」もそうですが、大人になっても自分のことを「女子」って呼んだり、呼ばれたり。「○○女子」「女子的には」と「女子」を連呼するのは、不思議な感じです。
保育園で男性保育士が女児を着替えさせてもいいかというテーマが話題になっています。じゃあ、女性保育士が男子を着替えさせるのは不安ではないのか。問題の本質は、男女の問題の前に「プロの保育士としてどうなの」「人としてどうなの」という仕事やモラルの問題ですよね。性別に縛られすぎて、大切なことが見えなくなっています。
国会をウォッチしていますが、私自身は女性の国会議員を増やそうという動きにも、ちょっと違和感があります。女性議員の比率を高める必要性はよくわかります。女性が結婚や出産を経ても働きやすい環境をつくる必要があるけれど、政策的に数を増やすのではなく、「この政治家が女性に働きやすい社会をつくれるか」「能力がある政治家なのか」ということが最初にくるべきだと思うんです。
若い女の子たちに言いたいのは、「ひとりも悪くないよ」っていうことです。小学校のころ、友達に誘われて、好きでもないのに一緒に遊んだり、何かを買うように強要されたりして疲れ果ててしまったことがあります。
「友達がたくさんいる自分」や「気遣いができる自分」……。もっと言えば「女の子であること」に縛り付けられることはない。やりたくないことに時間をとられるのも、悩むのも、もったいない。
まずは自分を縛り付けていたものから解放されて、ひとりになって。そして、自分がなにをしたいのか、自分の「個性」が何なのかだけに、向き合ってみて。(聞き手・市川美亜子)
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はるか・クリスティーン 1992年生まれ、スイス・チューリヒ出身。高校の時に女優を志して来日し、日本の高校に。国会議員の「追っかけ」が趣味でプライベートで国会審議の傍聴に通う。日、独、英、仏の4カ国語が堪能。
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女性に生まれたことを喜び、みんなで祝福したい。3月8日の国際女性デーに向けて、朝日新聞は新企画「Dear Girls」を始めました。紙面や朝日新聞デジタルで展開していきます。
自分らしく生きるってどういうこと?
日本の女性が自由に生きることを阻むものって?
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