講演にのぞむ日本銀行の中曽宏副総裁=9日、高知市
日本銀行の中曽宏副総裁は9日、高知市内での講演で「海外経済の動向に関する不確実性には注意が必要だ」と指摘し、具体的には「米国経済の動向やそのもとでの金融政策運営が国際金融市場に及ぼす影響がある」と述べた。米トランプ政権のかじ取りが、世界経済にとってリスク要因だとの考えを示した。
中曽氏はトランプ政権の経済政策について「基本的には減税やインフラ投資などの積極的な財政運営で経済成長率や物価上昇率が高まる方向に作用する」と述べた。そのうえで「米国の長短金利は上昇していくと見込まれ、新興国を含め市場に与える影響について注意してみていく必要がある」と話した。
ただ、市場が米国経済のリスクをある程度意識し、実際の影響が予想より軽ければ「景気の上振れにつながる」とも語り、「上振れ・下振れ双方の観点からみていく必要がある」と付け加えた。
長期金利を「ゼロ%程度」に誘導する操作目標については、「2%の物価目標の実現にはなお距離がある」「強力な金融緩和を粘り強く推進していくことが何よりも重要だ」などと話した。(藤田知也)