【ニューヨーク=高橋里奈】ブラジルのルセフ大統領は27日、ニューヨークで開いた国連サミットで演説し、「2030年までに温暖化ガスを05年比で43%削減する」と表明した。25年までには37%削減する。今年末にパリで開く第21回気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)は「気候変動への世界の挑戦として、(各国が)共通の対応策をつくる唯一の機会」と強調、国際的な合意に期待を示した。
温暖化ガス削減対策として、アマゾンの熱帯雨林の「違法な森林伐採を撲滅し、1200万ヘクタールの森林を再生する」と語った。世界平均は13%にすぎないという電源構成(エネルギーミックス)の再生可能エネルギーの割合を、45%にするとも表明した。太陽光や風力発電のほか、サトウキビ由来のバイオエタノール燃料などを活用する。
演説後の記者会見ではともに新興国の雄である中国の温暖化対策について問われ、「習近平政権と戦略的な関係を構築している」と強調したうえで「中国は世界に大きな貢献をしている」と配慮した。
シリアから難民が欧州に流入している問題については「シリアの惨状は世界を動かしている」と断言。「私の父も第2次世界大戦の難民であったように、ブラジルは難民によってつくられた国。難民を歓迎する余地はある」として、移民の受け入れに寛容な姿勢を示した。
また、シリア問題を解決できない安全保障理事会の改革について日本やドイツ、インドとともに取り組んでいることを紹介。「常任、非常任理事国の議席をともに拡大するよう望む」と語り、改革への意欲を示した。