日銀の黒田東彦総裁は28日、大阪経済4団体共催の懇談会であいさつし、2%の物価安定の目標について「実現に強くコミットし続ける」との決意を改めて示した。設備投資や賃金の伸びが鈍いことについて「企業や家計のマインドセット転換に時間がかかっている」との見方を示し、「日銀は役割をきっちり果たす」と強調した。
黒田総裁は「新興国経済の動向や国際金融資本市場の展開などのリスク要因については十分に注意を払っていく必要がある」と指摘。輸出については「新興国経済の減速の影響などからこのところ横ばい圏内の動きとなっている」と説明した。中国の株式相場の急落について「行き過ぎた水準の調整という面が強かった」とし、先行きの中国経済について「成長ペースを幾分切り下げながらも、おおむね安定した成長経路をたどる」との見通しを示した。
量的・質的金融緩和については「『物価安定の目標』の実現を目指しこれを安定的に持続するために必要な時点まで」継続するとの姿勢を改めて示した。そのうえで「仮に何らかのリスク要因によって物価の基調的な動きに変化が生じ、『物価安定の目標』の早期実現のために必要と判断すれば、ちゅうちょなく調整を行っていく」との見方を引き続き強調した。〔日経QUICKニュース(NQN)〕