原子力規制委員会は30日、関西電力美浜原子力発電所(福井県)の敷地内を走る断層について「活断層の可能性は低い」とする有識者調査団の評価書を受理した。関電が目指す3号機の運転延長には追い風だが、審査期間が限られるなかで残る課題を解決できるかは不透明だ。
美浜原発では敷地内にある複数の断層について、活断層の可能性が疑われていた。規制委が立ち上げた有識者調査団が2013年から調査してきたが、粘土鉱物などの分析から活断層の可能性は低いと結論づけた。
美浜原発はもともと3基の原子炉があったが、関電は1、2号機の廃炉を決定済み。稼働から38年がたつ3号機は国の規制で定められる「原則40年」の運転期間の延長を目指し、規制委の審査を受けている。活断層の可能性がひとまず否定されたことは、3号機の延長の実現に向けて一歩前進となる。
ただ、3号機は設計が古く、火災対策などでも課題を残す。延長の認可を得る期限は16年11月だが、関電の審査資料の提出が遅れており、規制委は「このままでは期間内に審査を完了できない。時間切れになってしまう」として関電に対応の迅速化を求めた。