【ワシントン=共同】来年の米大統領選で民主党最有力候補と目されるクリントン前国務長官は7日、大筋合意に達した環太平洋経済連携協定(TPP)について「現時点で賛成できない」と述べ、不支持を表明した。
オバマ大統領はTPPをアジア重視戦略の中核に位置づけており、不支持表明はオバマ政権のアジア政策や経済政策と距離を置くことを意味する。クリントン氏は支持率が低下傾向にあり、当選した場合は単なるオバマ政権の延長にはならないとアピールする狙いがありそうだ。
クリントン氏は米公共放送(PBS)のインタビューで「米国の雇用創出や賃上げ、安全保障の促進」につながるような高い水準に達していないと語った。
TPPをめぐっては、雇用が外国に奪われるとして労働組合などが反発している。クリントン氏は、労組を中心とする民主党左派の支持拡大につなげたい考えとみられる。
クリントン氏は最近、移民制度改革や銃規制、対シリア政策に関して現政権との姿勢の違いを強調する戦術に転じている。
クリントン氏はオバマ政権1期目の国務長官としてアジア重視戦略の旗振り役を務めた。