【ジュネーブ=原克彦】国際サッカー連盟(FIFA)の倫理委員会は7日、背任などの容疑でスイス検察当局の捜査を受けているブラッター会長を90日の停職処分にする方向で検討に入った。英BBC放送などが報じた。9日までには正式に決定する見通し。同会長は2016年2月に予定する辞任の前倒しを拒否しているが、実質的な解任に至る可能性が出てきた。
FIFAは5~9日の日程で倫理委員会を開いており、委員会内部の調査部門が90日の停職処分を勧告した。同じ委員会にある裁定部門が、8日か9日に処分が妥当かどうかを決める。
倫理委員会はほかに、FIFAから不透明な収入を得ていたことが明らかになったプラティニ欧州サッカー連盟(UEFA)会長も調査している。会長選挙への立候補を表明しているFIFA元副会長の鄭夢準氏についても、22年ワールドカップ(W杯)招致での不正行為などで19年の活動停止処分にする方針だと報じられている。
倫理委員会調査部門による勧告については、ブラッター会長のPR顧問を務める人物が英国のメディアに明らかにした。同会長の弁護士は、ブラッター氏はFIFAからは連絡を受けていないとする声明を出した。
ブラッター会長は5月に米司法省がFIFA関係者ら14人を贈収賄などで起訴した後も、自身については潔白を主張。後に辞意を表明したものの、後継者が決まるまでは会長職にとどまる意思を崩していない。ただ、スイス当局の捜査開始を受けて米コカ・コーラなどスポンサー企業4社が即時に辞任するよう求めるなど、退任への圧力は一段と強くなっている。
仮にブラッター会長が停職処分を受けると、FIFA筆頭副会長のハヤトウ氏が暫定的に会長に就く。次期会長選挙は26日に立候補の受け付けを締め切り、16年2月26日の臨時総会で加盟団体が投票する予定だ。