経済産業省は9日、今冬の電力需給の見通しを発表した。2016年2月の電力供給の余力の割合を示す「予備率」は電力9社で5.8%を確保し、安定供給に最低限必要な3%を上回る見込み。政府は昨年に続き、今冬も節電の数値目標の設定は全地域で見送る方向で検討する。
経産省の総合資源エネルギー調査会(経産相の諮問機関)の専門委員会が電力9社から集めたデータを公表した。
見通しによると、暖房などの使用が増える16年2月の9電力の予備率は5.8%で、特に寒さが厳しい北海道も14.0%を確保する見通しだ。北海道電力泊原子力発電所(北海道泊村)の再稼働は見通せないが、火力発電所の出力を増やしたり、新たな水力発電所の稼働で供給力を確保したりする。
他地域は、東北6.1%、東京5.6%、中部6.1%、関西3.3%、北陸5.3%、中国9.6%、四国6.2%、九州4.7%だった。企業や家庭の節電も進み、電力会社間で電気の融通をしなくても、各地で安定供給に最低限必要な3%以上の予備率を確保する見通しという。
政府はこの日、今夏の9電力の電力需給の実績もまとめた。最も電力需要が高かった日でも、9電力とも8%以上の予備率を確保しており安定供給が続いた。晴れた日が多く、太陽光による発電量が当初の見通しより増えたほか、節電の定着で需要が減ったことなどが影響したとみられる。