福島県平田村のひらた中央病院などのグループは9日までに、東京電力福島第1原子力発電所事故を受け、福島県を中心に子供2707人の内部被曝(ひばく)を調べた結果、体内から放射性セシウムが検出されたケースはなかったと発表した。事故後、子供を対象とした大規模な内部被曝の調査は初めて。
検査は同病院と南相馬市立総合病院、いわき泌尿器科(いわき市)の3カ所で実施。2013年12月~今年3月、体が小さい乳幼児も測定できるホールボディーカウンターを使い、0~11歳の内部被曝を調べた。多くは福島県在住で、宮城県や茨城県の子供もいた。
装置の検出限界値は50ベクレル。不検出だったことで1年間の被曝量は16マイクロシーベルト以下と推計できる。
また、福島県産のコメや野菜、水道水を日々の食事に使っているかどうかを調べたところ、内陸の三春町で「コメ、野菜、水道水すべてを避けている」と答えた保護者は約4%にとどまるなど、検査対象者には福島県産を食べている子供が多いことも分かった。
グループの坪倉正治・東京大医科学研究所特任研究員は「福島の食材を口にしている子も、内部被曝のリスクが低いと分かった。今後も検査を続け、不安の解消につなげたい」と話している。〔共同〕