【ロサンゼルス=小川義也】米新聞大手ニューヨーク・タイムズは20日、米グーグルと協力し、仮想現実(VR)映像が体験できる段ボール製のゴーグル型端末を紙の読者合計100万人に配布すると発表した。新たに制作するVR映像によるドキュメンタリーを視聴してもらうのが狙い。米国では大手テレビネットワークのABCなどもVR映像によるニュース配信を始めているが、端末まで提供するのは珍しい。
「NYT VR」と名付けたドキュメンタリーシリーズの第1弾として、戦争によって祖国を追われた難民の子どもをテーマにした作品を11月上旬に配信する。配布するVR端末「グーグル・カードボード」は組み立て式で、専用アプリをダウンロードしたスマートフォン(スマホ)を挟み込んで視聴する。
ドキュメンタリー作品は年内に2作品を追加する予定。電子版の有料会員の一部にもグーグル・カードボードを無料で提供するが、電子版のウェブサイトでも、VR版ではない同一作品を視聴できるようにする。
本編のほか、広告主の米ゼネラル・エレクトリック(GE)と独BMW傘下のブランド「ミニ」が配信するVR版のCMも楽しめるという。