裁判所の令状なく捜査対象者の車などにGPS(全地球測位システム)端末を取り付ける捜査が違法かどうかが争われている刑事裁判で、最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は、判決期日を3月15日に指定した。GPS捜査に裁判所の令状が必要かどうかについては、全国の裁判所で判断が分かれており、大法廷が初めての判断を示す。
判決を言い渡すのは、車を使った侵入盗などを繰り返したとして窃盗罪などに問われた岩切勝志被告(45)の裁判。一審・大阪地裁は、大阪府警が令状なしで被告らの車などにGPS端末を装着した捜査を「違法」と認定。GPS捜査による証拠の一部を排除したが、他の証拠で懲役5年6カ月の有罪とした。二審・大阪高裁は、令状が必要かどうかについては判断せず、有罪を維持した。
今月22日に開かれた弁論では、弁護側が「監視社会につながる」と批判。検察側は「(GPS端末は)捜査に有用だ」と反論していた。
警察庁は従来、令状が不要な捜査と位置づけてきたが、昨年9月からは、令状を得て実施するよう事実上方針を転換した。