【クアラルンプール=田島如生】中谷元・防衛相は4日、クアラルンプール郊外のホテルで中国の常万全国防相と会談した。日中の防衛相会談は4年5カ月ぶり。海や空で自衛隊と中国軍の不測の衝突を防ぐため、防衛当局間で連絡を取り合う「海空連絡メカニズム」の運用を早期に始めることで一致した。南シナ海情勢を巡っては平行線をたどったもようだ。
会談を前に中国の常万全国防相(右)と握手する中谷防衛相(4日、クアラルンプール近郊)=共同
海空連絡メカニズムは艦船や航空機が偶発的に接近した際に、防衛当局間で連絡を取り合う枠組み。中国の東シナ海への進出拡大を踏まえ、日本では早期に締結すべきだとの声が多い。日中は7月にも覚書に署名するはずだったが、東シナ海のガス田問題を巡る摩擦などが影響し、協議は停滞している。
中谷氏は会談で「不測の事態の悪化を防ぐために必要だ」と指摘。常氏と早期に妥結し、運用を始めるべきだとの認識を共有した。防衛当局による定期協議などを念頭に、日中の防衛交流を発展させる重要性についても一致した。
南シナ海で中国が人工島を造成している問題を巡っては中谷氏が懸念を表明し、航行の自由などの重要性を訴えたもよう。中国側は南シナ海で航行の自由は確保され、国際法上も問題ないとの立場を示し、平行線に終わったとみられる。中国側に配慮し、日本側はやりとりの詳細を明らかにしていない。
中谷氏は9月に成立した安全保障関連法についても説明。「平和国家の道と専守防衛を堅持していく」などと伝え、理解を求めた。
日中の防衛相会談は2011年6月に当時の北沢俊美防衛相と梁光列国防相が会談して以来。