【モスクワ=共同】ロシアのプーチン大統領とフランスのオランド大統領は26日、モスクワで会談し、過激派組織「イスラム国」(IS)掃討に向けた空爆作戦時に標的の位置情報を交換することで一致した。対テロ作戦に関わる各国が全て参加する大連合の必要性についても合意したが、軍事行動の連携の在り方などには踏み込まず、大連合の具体化には至らなかった。
首脳会談後に会見するフランスのオランド大統領(左)とロシアのプーチン大統領(16日、モスクワのクレムリン)=ロイター
トルコによるロシア軍機撃墜が協調の機運をそいだほか、シリアのアサド大統領の処遇をめぐる溝も埋まらなかった。
パリ同時テロを受け、オランド氏はISに対する国際包囲網構築を目指し、23日から英米、ドイツ、イタリアの各国首脳と会談。さらにロシアを訪問してプーチン政権と欧米との橋渡しを目指していた。ISとの戦いに転機を刻む取り組みに大きな弾みはつかなかった。
プーチン氏は会談後の記者会見で、ロシア軍機撃墜をめぐり、米国との合意に基づきトルコを含む有志国側にロシア機の作戦行動の場所を事前に伝えていたと主張。トルコによる撃墜をあらためて非難、米国の責任も指摘した。
アサド大統領の処遇をめぐっては、オランド氏はシリアの将来にアサド氏の居場所はないと断言。一方、プーチン氏はアサド政権について「テロとの戦いの同盟相手」と語り、擁護する姿勢を変えなかった。
プーチン氏は今後、フランスだけにとどまらず米主導の有志国連合の各国と協力していくことでオランド氏と合意したと語った。ただ具体的な共闘の在り方は不透明なままだ。