金星探査機「あかつき」が9日、金星を回る軌道に投入できたことが明らかになった。宇宙航空研究開発機構(JAXA)によると、7日に計画通りにエンジンを噴射して軌道に入ったが、観測に適した軌道かどうかはわかっていなかった。日本の探査機が地球以外の惑星の周回軌道に入るのは初めて。2年間かけて金星の大気の様子などを観測する。
金星探査機「あかつき」は2010年12月に主力エンジンのトラブルで周回軌道への投入に失敗した。JAXAは7日に姿勢制御用のエンジン4基を20分あまり噴射させ、予定していた周回軌道に入ったかどうか分析を進めていた。
あかつきは設計寿命の4年半を過ぎ、残された燃料も少なくなっていたため、今回が最後のチャンスだった。
金星は地球と質量や大きさが似ていて「双子星」と呼ばれるが、環境は大きな違いがある。上空は風速100メートルの猛烈な風が吹いていて、硫酸の雲で覆われている。大気のほどんどが二酸化炭素(CO2)で、温室効果で地表付近の気温は約460度にもなる。「あかつき」はこの金星の気候の謎に迫る観測に取り組む。