JR東海は18日、2027年の開業を目指すリニア中央新幹線で、南アルプスを貫くトンネル工事に本格着手した。来年秋にはトンネル本体の掘削を開始する予定で、工期は25年までの10年間に及ぶ。
同日、山梨県早川町で開いた「南アルプストンネル」の起工式と安全祈願にはJR東海の幹部や自治体関係者ら約90人が出席。終了後、柘植康英社長は「山梨工区は長く難しい工事になる。工事の安全や環境の保全はもとより地域の皆さんとも連携し、社をあげて工事に取り組む」などと話した。
山梨、静岡、長野の3県にまたがる同トンネルは全長25キロメートルで、山岳トンネルとしては世界有数の長さ。地表からの深さを示す「土かぶり」は最大で1400メートルに達する。この日、本格着工した山梨工区(約7.7キロメートル)は大成建設、佐藤工業、銭高組による共同企業体(JV)が施工する。
リニア中央新幹線は品川―名古屋の約286キロメートルを最速40分で結ぶ。45年には大阪へ延伸を予定しており、全線開業までの総工費、9兆円強はJR東海が自己負担する。