消費者安全調査委員会(消費者事故調)は19日までに、多発している子供の医薬品誤飲事故を防ぐため、開封強度を高めて錠剤を押し出しにくくする包装容器を導入するよう厚生労働省に求める調査報告書をまとめた。包装容器に子供が扱いにくい「チャイルドレジスタンス(CR)」と呼ばれる機能を持たせることで、年間8千件にも上る誤飲事故を防ぐ狙い。
事故調によると、5歳以下の子供の医薬品の誤飲事故は2006年から増加傾向にある。14年に寄せられた事故情報は延べ8433件で、うち吐き気や腹痛などの症状を訴えたのは849件だった。向精神薬や気管支拡張剤などは誤飲すると重い中毒症状を起こしやすいという。
事故調は対策をとりまとめるため、主流のアルミ箔を破って錠剤を取り出すタイプの包装で実験した。開封強度が異なる14種類の包装シートと直径8ミリの錠剤を用意。5歳未満の子供と、高齢者や手先がうまく使えない人が薬を飲めなくならないかも調べるため50歳以上の中高年も対象に、開封できた比率をシートごとに調べた。
その結果、子供にとっては開けにくく、中高年なら開封できる強度のシートがあることを確認。機器で強度を評価できることも分かった。事故調は厚労省や医薬品業界に対して調査データを提供し、CR機能を持つ包装容器の設計上の基準作りや導入策を検討するよう求めた。
CR機能を持つ医薬品の包装容器については、米国や英国では義務化されており、誤飲事故の減少がみられたという。日本では企業側の判断に委ねられており、採用は数社にとどまる。事故調の持丸正明委員長代理は「CR機能を持たせるコストはそれほどかからず、採用の大きな障害にはならないだろう。導入を進めてほしい」と話している。