【ロンドン=共同】過激派組織「イスラム国」(IS)は3日までに、「英国のスパイ」としてアラブ系とみられる5人を殺害したとの映像をインターネット上に公開し、覆面姿の男が英国風アクセントの英語で、ISへの攻撃を拡大した英国のキャメロン首相を「愚かだ」などと批判した。
英メディアによると、英当局は映像の確認を急ぐとともに、男の身元特定に向けた調査を始めた。昨年11月に米軍の空爆で死亡したとされる「ジハーディ(聖戦士)・ジョン」の通称で知られた英国人になぞらえ、一部のメディアは男を「新たなジハーディ・ジョン」と報じている。
映像では、男が銃を手に「キャメロン(首相)へのメッセージだ」と主張。「イラクやアフガニスタンで負けたように、おまえはこの戦いに負ける」と述べ、いずれ英国に侵攻すると宣言した。
映像の長さは約10分。オレンジ色の囚人服を着た5人はアラビア語で、IS支配地域の写真を撮ったり、戦闘員の情報を外部に流したりしたと「証言」。その後、地面に座らされ、後ろに立った男らに拳銃で頭を撃たれた。
昨年11月のパリ同時多発テロを受け、キャメロン氏はシリアでの対IS空爆参加を決断。英下院が承認した12月に空爆を開始した。映像公開は報復の意図があるとみられる。