【ロンドン=共同】女子マラソンのリリア・ショブホワ選手(ロシア)のドーピング違反を隠蔽したとしてラミン・ディアク前会長(セネガル)の息子ら3人に永久追放処分を科した国際陸連の倫理委員会は7日に約170ページに及ぶ報告書を発表した。国際陸連とロシア陸連の幹部が共謀し、賄賂や恐喝の不正を図った実態が浮かび上がった。
報告書によると、ショブホワ選手のドーピング違反隠しは、国際陸連コンサルタントだったパパマッサタ・ディアク氏、ロシア陸連のバラフニチョフ前会長と元コーチのメルニコフ氏の3人が主導して画策した。
2011年12月にメルニコフ氏が、違反のリストから名前を外す見返りとして同選手に15万ユーロ(約1940万円)を要求。さらに追加で12年6月にはロンドン五輪出場のために「30万ユーロが必要」として半強制的に支払いを求めた。
違反の発覚を恐れた同選手はこれに応じたが、結局は14年に資格停止処分が科される事態になり、30万ユーロが返金されたという。倫理委はこの返金を「口封じを図った」ものと指摘した。
隠蔽に関与したとして国際陸連の反ドーピング部門責任者だったドレ氏も5年間の資格停止とされた。
報告書は「脅迫行為で選手に賄賂を強要したのはより罪が重く、スポーツ界に深刻なダメージを与えた」と結論づけた。