【マニラ=佐竹実】アジア開発銀行(ADB)は8日、2015年の融資承認額が165億8千万ドル(約1兆9600億円)で過去最高となったと発表した。アジアの新興国で増える交通や電力などのインフラ需要に対応しているためで、前年実績よりも23%増えた。ADBは17年から自己資本を増強し、融資可能枠を200億ドルに増やす。
アジアのインフラ需要は年間8千億ドル近くあるが、世界の開発銀行はその数%しか手当てできていない。ADBは中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)と協調融資をするほか、民間マネーも取り込んで域内のインフラ整備を進める。
ADBの中尾武彦総裁は同日マニラの本部で記者会見し、AIIBとの協調融資について「今年前半にはAIIBが発表する見通しで、交通機関や道路、再生可能エネルギーによる発電などが対象となりそうだ」と述べた。