【ロンドン=小滝麻理子】英下院は18日、米大統領選で共和党指名争いの首位に立つ不動産王ドナルド・トランプ氏について、英入国を禁止とすべきかを審議した。野党の労働党などからイスラム教徒の米入国禁止を唱えるトランプ氏の主張は、人々の間の憎悪をあおるもので、「有害だ」との批判が相次いだ。ただ、決定権を持つ英政府は対米関係などに配慮し、入国禁止措置とはしない方針だ。
トランプ氏は昨年12月、イスラム教徒の米入国禁止を提唱。ロンドンの一部が「イスラム教徒が過激化しており、警官は命の危険を感じている」などとも発言し、英国内で反感を買っていた。英国では同氏の入国禁止を求めるネット上の請願に、57万人以上が署名。英国の法律により審議検討対象となる10万人を大きく上回った。
約3時間にわたる討論では、労働党の議員などからトランプ氏の発言が「有毒」「非常に危険だ」として、入国禁止を求める声が上がった。
実際に同氏を入国禁止にするかはメイ内務相に権限があり、今回は審議後の採決も行っていない。キャメロン英首相は昨年、トランプ氏の一連の発言について「不和を招き、おろかで、間違っている」と批判したが、入国禁止の可能性は否定している。
仮に入国禁止になった場合、トランプ氏は英北部スコットランドに所有するゴルフ場への7億ポンド(約1170億円)の投資をやめると警告してきた。