【フランクフルト=加藤貴行】独経済誌マネジャー・マガジン(電子版)は21日、排ガス不正問題で揺れる独フォルクスワーゲン(VW)が、中核のVWブランド乗用車部門でコスト削減を本格化し、2016年に生産性を前年比1割向上させる方針と伝えた。VWが人員削減に着手し対象は1万人を超えるとも報じたが、VWは日本経済新聞の取材に対し「中核的な雇用は守る」と述べ、人員削減報道を否定した。
同誌は乗用車部門トップのヘルベルト・ディース氏があらゆる分野のコスト削減を主導し、今夏までに人員削減も始めると指摘。契約社員7千人の削減ではとどまらないと報じた。
ただ、ドイツ国内のVW乗用車部門の従業員約12万人は会社側と団体協約を結び、容易にリストラできないようになっている。独メディアによると、VWの従業員代表はコスト削減には雇用確保を前提にした従業員側の協力が不可欠と強調し、今回の人員削減の報道をけん制した。
同部門はVWグループ全体の販売台数の約6割を占めるが、15年1~9月期の売上高営業利益率は2.8%に低迷する。不正車のリコール(無料の回収・修理)費用も膨らみ一段の収益悪化は避けられない。