長野県軽井沢町のスキーツアーバス事故を受けて、国土交通省は22日、再発防止策を検討する有識者委員会を設置したと発表した。バス事業に新規参入する事業者の安全確保面からの審査の強化や、運行会社に対する監査業務の一部民間委託などを検討する。運転手の不足や高齢化の対策も議論する。
委員会は交通政策の専門家や日本バス協会会長ら14人で構成。29日に初会合を開き、今夏までに報告書をまとめる。監査から処分までの期間短縮や、重大事故を起こした会社を市場から退出させる方策も論点になる。
貸し切りバス事業は2000年に規制緩和で免許制から許可制になり、事業者は緩和前の約2倍の4400社になった。一方で国交省の監査の職員は365人。トラックやタクシーも監査対象で、貸し切りバス事業者のうち立ち入り監査ができているのは14年度で481事業所にとどまる。
全国に約6万社あるトラック事業分野では国交省が指定する全日本トラック協会(東京)が事業者に巡回指導を行い、法令違反があれば同省に通知している。
12年に関越自動車道で7人が死亡したバス事故を受けて、日本バス協会(同)は加盟社への巡回指導を始めたが、同省に通知する仕組みはないという。バス協に加盟している貸し切りバス会社は全体の半数の約2千社で、事故を起こした「イーエスピー」(東京都羽村市)は加盟していない。