総務省が29日発表した住民基本台帳に基づく2015年の人口移動報告によると、東京23区への日本人の転入超過数は14年比8%増の6万8917人だった。転入者数は都内からが47%を占め、23区内での移動が40%に達する。千代田・港・中央の都心3区は転入者の50%前後が都内の他区から来ている。全国から東京へ、都内ではより都心へという流れが鮮明だ。
東京都全体の他道府県からの転入超過数は11%増の8万1696人。転入超過は19年連続で、転入超過の数は4年連続で伸びている。ただ年齢階層別にみると、0~14歳の子どもと65歳以上の高齢者は転出超過だ。15~64歳の生産年齢人口が地方から集まっていることが分かる。
自治体別にみると、23区全区と31市町村が転入超過となった。東村山市や三宅村など8市村は転出超過だった。転入超過数が最も多いのは世田谷区の6164人。次いで江東区が5163人だった。上位にはもともと人口の多い区が並ぶ。
転出入の前後の住所から、区市町村単位のより詳細な人の流れがつかめる。例えば千代田区に転入した6722人のうち、都内からは3795人で、その大半の3382人が他区からだ。転入超過数トップの世田谷区へは6万486人が転入しており、このうち都内他区からの転入は2万1861人にとどまる。
都心部への人口流入の背景には、新築マンションの供給拡大がある。住友不動産は15年9月、中央区晴海に超高層マンション「ドゥ・トゥール キャナル&スパ」を完成させた。全1450戸で平均価格は8000万円前後。販売は好調で、モデルルームへの来場は1万件を超えた。
中央区では三菱地所と鹿島が16年にも、晴海に800戸超の超高層マンションを完成させる予定。20年五輪を見据え、都心部や臨海部では大型マンションの建設計画が相次ぐ見通しで、中古マンションの人気も高い。
不動産仲介を手掛ける三井不動産リアルティの担当者は「都心で新築マンションの分譲が増えるのに伴い、中古市場の規模も拡大している」と話す。