トヨタ自動車は1日、8日から13日までの6日間、国内車両工場の全ラインの稼働を停止すると発表した。1月8日に発生したグループの愛知製鋼の爆発事故の影響で、エンジンや変速機などに使う一部の特殊鋼部品の確保が難しくなったため。15日に稼働を再開する予定で、トヨタは休日出勤などを含めた「挽回計画を今後詰める」(広報部)としている。
愛知県内にある4つの自社車両工場と、グループの豊田自動織機、トヨタ自動車東日本(宮城県大衡村)、トヨタ自動車九州(福岡県宮若市)などグループや子会社の全12工場が稼働停止の対象となる。ダイハツ工業や日野自動車にトヨタが生産委託している工場も含む。海外の車両工場やエンジン工場などは通常通り稼働する。
トヨタは今回の稼働停止による影響を明らかにしていないが、部品メーカーに内示した2月の国内工場の生産台数は1日あたり約1万4千台で、単純計算で約7万台規模となるもよう。13日の土曜はもともと昼間のみの稼働予定だった。
トヨタは1月28日に、国内の全車両生産ラインで2月1~5日の残業と6日に予定していた休日出勤を取りやめる計画を部品メーカー各社に伝達済み。サプライチェーン(供給網)の状況を見極め、8日以降の稼働体制を検討していた。
愛知製鋼はライン復旧を3月中とみており、代替ラインで生産したり、神戸製鋼所などに生産委託したりしてきた。ただ特殊鋼はエンジン関連を中心にあらゆる部品に使う素材。トヨタ本体や下請けの部品メーカーにも供給しており、種類も多い。在庫の確保が難しい部品も生じていた。
トヨタは主力ハイブリッド車(HV)新型「プリウス」の増産などのため、1~3月は高水準の生産体制を敷いている。
同社は2011年の東日本大震災の際に、車両工場やエンジン工場など国内全工場の稼働を10日間停止したことがある。