【ワシントン=河浪武史】世界銀行は13日、中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)と年内に協調融資を開始することで正式合意した。AIIBは世銀と協調して、交通インフラやエネルギー分野などを中心に2016年中に12億ドル(約1300億円)の融資承認を見込んでいる。
世銀のキム総裁とAIIBの金立群総裁が同日、ワシントンで会談して合意書を交わした。世銀のキム氏は「世界の膨大なインフラ需要に対処する重要な第一歩になる」と述べた。AIIBの金氏も「協調融資にとどまらない協力関係を期待している」と話した。
AIIBは今年半ばにも第1号の融資案件を決めたい考えだ。世銀とはすでに10件ほどの融資案件を審議しており、アジアの交通インフラや水事業などが対象になると見込んでいる。世銀は環境面での影響評価などでもAIIBに協力する。
AIIBには日米は参加していないものの、伝統的に米国が運営を主導してきた世銀はAIIBとの協力関係を重視している。AIIBはアジア開発銀行(ADB)などとの協調融資も検討している。