西日本旅客鉄道(JR西日本)は13日、昨年3月に開業した北陸新幹線の2016年3月期の乗客数(速報ベース)が、15年3月期の在来線利用と比べおよそ2.7倍になったと発表した。首都圏から金沢や富山などへ向かう人が多く、利用者が13日に1000万人を超えるなど好調を維持している。
北陸新幹線の開業は昨年3月14日だったため、比較対象となる15年3月期の数値には開業直後の乗客数が一部含まれる。そのため3月に公表した開業1年目の乗客数は約3倍としていたが、決算期での比較ではやや低くなった。記者会見した真鍋精志社長は「2年目は観光客に加え、ビジネスなど観光以外の個人に利用してもらうのが課題」と述べ、一段の利用客拡大に意欲を見せた。
併せて発表した16年3月期の運輸取扱収入(速報ベース)は前の期比7.8%増だった。増加は6期連続。増加率は直近6年で最高だった14年3月期の4.4%(同)を上回った。北陸新幹線に加え、山陽新幹線では沿線企業などの出張需要が増えた。外国人観光客の利用も伸びた。
運輸取扱収入の内訳は新幹線など中長距離券は9.2%増、在来線の近距離券は3.5%増、定期券は7.5%増と全項目で前の期を上回った。
またグループのJR西日本不動産開発は13日、名古屋市で東海地区初の不動産開発事業に乗り出すと発表した。JR名古屋駅から徒歩圏内に地上14階建てのビルを建設し、主に東海地区でビジネスホテルを運営する呉竹荘(浜松市)に賃貸し全166室のホテルにする。投資額は非公表。今後は東海や首都圏などJR西のエリア外でも不動産開発を進める方針だ。