熊本県内にある生産拠点にも、地震の影響が広がっている。15日午前に企業の広報などから聞き取った現地の状況は以下の通り。
特集:熊本で震度7 これまでの経過を時系列で
特集:熊本地震
■ソニーグループの半導体メーカー「ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング」熊本テクノロジーセンター(菊陽町)
スマートフォンのカメラなどに使う画像センサーの製造ラインが止まり、復旧のめどが立っていない。壁の一部がはがれたり、製造装置の部品が外れたりする被害が確認されている(午前10時現在)。
■ホンダの熊本製作所(大津町)
スクーターなど二輪車の製造拠点。余震が続いているため工場内の確認が思うように進んでいない。14日に勤務していた従業員にけががなかったことは確認した(午前8時45分現在)。
■サントリー九州熊本工場(嘉島町)
ビール類や水、コーヒーやお茶などを生産。14日の地震直後に稼働を停止。約300人が働いているが無事。建物に大きな被害はないが、工場内の被害を確認中で、稼働を再開するめどは立っていない(午前10時現在)。
■三菱電機のパワーデバイス製作所(合志市)、液晶事業統括部(菊池市)
パワーデバイス製作所はエアコンや電車の部品に使われるパワー半導体の、前工程といわれるチップをつくる。液晶事業統括部はカーナビや駅のキヨスク向けの端末につかわれる液晶モジュールを製造。従業員は自宅待機。管理職が出勤して建物の損傷を調べているという。
■ブリヂストンの熊本工場(玉名市)
建機などに使われるゴム製品や工業用のゴムホースを生産。地震後から稼働を停止。工場設備に大きな被害はなく、約400人の従業員にも被害はない。安全確認を続けており、今のところ再開のめどは立っていない。
■井関農機の熊本事業所(益城町)
コンバインなどを製造。従業員334人の安否を確認中。建物などに大きな被害はなく、設備や製品の被害を確認中だという。
■トヨタ自動車系部品大手アイシン精機グループの「アイシン九州」(熊本市)
地震直後から稼働を見合わせた。従業員や建物に被害はないが、余震が続いているため15日午前も停止した。再開のめどは未定で、設備の状況などを確認して決める(午前11時現在)。
■パナソニックグループの「パナソニック プレシジョンデバイス」(和水町)
電子部品を生産。従業員を自宅待機として、操業を見合わせた。人的な被害はなく、幹部らが出社して設備の状況などを確認している。
■ルネサスエレクトロニクスの川尻工場(熊本市)
自動車向けの半導体をつくる。地震後に操業を停止。建屋にはガスや薬液などの危険物があるうえ、余震も続いており、設備の点検に時間がかかっている(午前11時現在)
■再春館製薬所(益城町)
通信販売化粧品の「ドモホルンリンクル」で知られる。生産設備の一部や製品を保管する棚が倒れるなどの被害が出た。復旧に向けて作業を進めているが、現時点で再開時期は未定。地震発生時は工場は稼働を終えており、従業員にけがはなかったという。(午後2時現在)
■コカ・コーラウエストの熊本工場(熊本市)
約30品目の飲料を生産。炭酸飲料「リアルレモン」の生産ラインで原材料を混ぜる調合タンクが破損。復旧には3日ほどかかる見通しで、この間の生産は停止する。リアルレモンは同工場の生産量の2割を占め、近畿以西のエリア向けに出荷。他の商品の生産ラインには影響なく、通常生産を始めている。
■分析機器メーカー堀場製作所のグループ会社「堀場エステック」の阿蘇工場(西原村)
15日は臨時休業する。約400人の従業員は無事という。建物に大きな被害はないが、設備の状況などを確認している。(午前11時現在)
■半導体製造装置メーカー東京エレクトロン九州の合志事業所(合志市)と大津事業所(大津町)
親会社の東京エレクトロンによると、建物や設備に大きな損害はないが、安全を確認するまでは停止する。本社に災害対策本部を立ち上げて情報収集を進める。
■住宅設備大手LIXIL(リクシル)の有明工場(長洲町)
窓を生産。地震の発生を受けて一部工程の稼働を見合わせていたが、被害がなかったことから15日午前9時ごろから全工程の稼働を再開した。