政府の地震非常災害対策本部会議で関係省庁などに指示を出す安倍晋三首相(左から5人目)。右奥画面内はテレビ会議でつないだ熊本県の蒲島郁夫知事=15日午前8時10分、首相官邸、飯塚晋一撮影
熊本県を震源とする地震を受けて政府は15日午前8時すぎ、首相官邸で地震非常災害対策本部会議を開いた。蒲島郁夫・熊本県知事から激甚災害への指定を要請され、政府の現地調査団が早期指定に向けて被害状況を調査している。
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安倍晋三首相は会議の冒頭、「亡くなられた方々のご冥福をお祈りします。被災者の救命救助は時間との勝負。救助活動に全力を期してもらいたい」と述べ、関係閣僚に対応を指示。「避難の長期化も予想されることから、住環境の確保なども含め関係機関が一体となって被災者支援に取り組んでほしい」と述べた。
テレビ会議で参加した熊本県の蒲島知事は、「甚大な被害が発生している。激甚災害の早期指定など全面的な支援をお願いしたい」と要望した。
政府の現地調査団は松本文明内閣府副大臣が団長となり、復旧事業などを支援する「激甚災害」の指定に向けた判断を行う。菅義偉官房長官は記者会見で「被害状況を早期に把握し、できる限り早く対応するよう指示している」と述べた。
この日から審議を再開する予定だった環太平洋経済連携協定(TPP)に関する法案などを審議する衆院の特別委員会では、冒頭で安倍首相が被災状況を説明。「本委員会にはできる限り出席するが、災害対応の緊急性にかんがみ、必要に応じ離席させて頂きたい」と述べて退出した。委員会は休憩に入り、この日の審議を見送った。自民、民進は国会対策委員長会談を開き、政府が災害対応に集中できるよう、関係閣僚が出席する委員会は原則として審議を取りやめることで合意した。
TPPの審議は進んでおらず、6月1日までの会期内の日程は窮屈になっているが、自民党の谷垣禎一幹事長は記者会見で「会期(延長)の検討には入っていない。まだ会期は1カ月以上ある」と述べ、会期延長に慎重な考えを示した。
与野党各党はそれぞれ熊本地震に対する対策本部を設置し、幹部らが集まって会合を開いた。自民党は情報収集のため熊本選出の国会議員5人を現地に派遣。民進党の岡田克也代表は党会合で「政府に対し(地震対応で)気がついたことは提案していく」と述べた。