沖縄県名護市は14日、2015年度の「ふるさと納税」の寄付者が1227人で、前年度の約2・5倍になったと発表した。一人で2億円を寄付した人がいたため、金額は約2億5800万円と12倍になった。名護市への「納税」に見返りはないが、米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)の移設先とされる辺野古があることから、基地移設に反対する市を応援する声が多く寄せられているという。
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ふるさと納税
従来は10年度の640人、2800万円が最高だった。2億円の寄付者は匿名希望で市は詳細を公表していないが、東京在住だという。寄付者は多くがメッセージを添え、市は内容をホームページで公開している。「辺野古の海を守って」(山口県)、「基地のない平和な町にして」(愛知県)などと基地問題で市を応援するものがほとんどだ。市幹部は増加の背景を「移設問題で県と国の対立が激しくなったことで注目された」とみている。
ふるさと納税制度は08年度に始まり、寄付分が一定額まで所得税や住民税から控除される。注目を集めて寄付を増やそうと、特産品などを返礼として贈る自治体が多い中、名護市は何もしていない。稲嶺進市長は「基地問題について『がんばって』というコメントがついており、純粋に地域を支援したいということだろう」と喜んだ。(吉田拓史)