前橋市のスナック銃乱射事件で死刑判決が確定した男が、20年前に別の殺人事件に関与したとする文書を警視庁に送っていたことが、捜査関係者への取材で分かった。警視庁は男らの説明に基づき、遺体を埋めたとされる神奈川県伊勢原市内の山中を今週中にも捜索する方針を固めた。
文書を送ったのは、指定暴力団住吉会系の組長だった矢野治死刑囚(67)。前橋市のスナックで2003年1月に4人が殺害された銃乱射事件で、実行犯に犯行を指示した殺人罪などに問われ、14年3月の上告棄却により死刑判決が確定した。
捜査関係者などによると、矢野死刑囚は東京都新宿区で不動産業を営んでいた男性を1996年に殺害した事件に関わったとする文書を昨年、渋谷署に送付。男性と不動産関係のトラブルがあった別の暴力団関係者(故人)から依頼を受け、男性の殺害や遺体の遺棄を指示した、とする内容だったという。
この文書に基づき、警視庁は矢野死刑囚らから事情を聴取。矢野死刑囚の知人で、遺体を遺棄したとされる男が遺棄の具体的な場所を説明したという。説明通り遺体が見つかった場合、殺人事件として立件できるかどうかを慎重に検討するという。
矢野死刑囚は目白署にも別の殺人事件を告白する文書を送付。友部達夫・元参院議員(12年死去)が詐欺罪で有罪判決を受けた「オレンジ共済組合事件」に絡み、国会の証人喚問を受けた不動産会社経営の男性の殺害に関わったとする内容という。