法事などに僧侶を手配するサービス「お坊さん便」がネット通販大手アマゾンに出品され、仏教の主な宗派などでつくる全日本仏教会(全仏)が販売中止を求めている問題で、アマゾン側が文書で回答していたことが分かった。全仏の意見をサイト上に載せる意向を示したが、中止要請への言及はなく、事実上、販売中止に応じない考えを伝えたとみられる。
アマゾン「お坊さん便」、仏教会が中止要請 自省の弁も
3月初旬、全仏が「宗教行為を商品化している」と販売中止を求めたのに対し、アマゾンジャパン(東京)のジャスパー・チャン社長名で「(利用者の)判断の参考になる情報は可能な限り提供したい」などと回答した。中止要請への言及を避けたのは、利用するかどうかの判断を消費者に委ねる意向とみられる。
全仏側はあくまで中止を求めて「直接話し合いたいとアマゾンに要望している」(広報担当者)という。アマゾンジャパン広報は「特にコメントはない」と答えた。
「お坊さん便」は、定額の「お布施」で法事などに僧侶を手配するサービス。葬儀関連会社の「みんれび」(東京)が昨年12月にアマゾンに出品した。「お坊さん便」を批判した全仏に対しても「先に仏教を商品化したのはあなたたち」「対案も出さずにただ反対というのはどうか」といった批判が相次いだ。このため、全仏は菩提寺(ぼだい)のない人に近隣の寺を紹介する取り組みや、過疎地の僧侶への支援策などを検討する協議会の設置を決めている。