化学及血清療法研究所の阿蘇支所=19日午後、熊本県阿蘇市、柴田秀並撮影
ワクチン製造の国内大手「化学及血清療法研究所」(化血研、熊本市)の製造設備が熊本県を中心とする地震の影響で損壊し、19日時点で全製品の製造が止まっている。A型肝炎ワクチンなどは国内シェアを独占しており、長期化すると影響が広がる可能性がある。
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化血研は、人や動物を対象にしたワクチンや血液製剤など約80製品をつくっている。国の承認と違う方法で製造していたとして1月に国から一部の製品で業務停止命令を受けたが、大半の製品は製造していた。厚生労働省によると、A型肝炎ワクチンや狂犬病ワクチンなどは国内の製造業者が化血研のみだ。
化血研は少なくとも20日まで臨時休業を決めた。県内の研究所などで配管破損や漏水など生産設備に被害が出ており、「復旧まで時間がかかる。見通しはまだたっていない」(担当者)という。厚労省は「具体的な影響は把握中」としているが、状況次第では他社に生産を要請するなど対策をとるという。
農林水産省によると、化血研は動物向けワクチンでも、国内で販売する業者約30社の中で2014年の売上高が2位だった。農水省も製造再開の見通しなどを調べたうえで、必要ならば他社に増産や製造の協力を求めるという。(岩沢志気、武田耕太)