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熊本地震 災害時の生活情報
熊本県などでの一連の地震で、多くの住民が避難生活を強いられている。自閉症など発達障害がある人の中には、環境の変化に対応するのが難しいため、パニックをおこしたり、共同生活になじめなかったりすることがあるので配慮が必要だ。
国立障害者リハビリテーションセンター研究所の発達障害情報・支援センターが東日本大震災(2011年)の翌年、岩手、宮城(仙台市を除く)、福島の3県で、発達障害がある人(もしくは、家族が代理で回答)にアンケートしたところ、276人が回答。避難所を利用した人は23%で、そのうち避難所で問題なく過ごせた人は18%にとどまった。
偏食で配給食が食べられない▽見守りが必要で配給の受け取りに行けない▽夜中に目を覚まして声を出してしまう――など、障害特有の行動で、本人だけでなく、家族の負担も大きかった。周囲に遠慮し、避難所生活をあきらめて車中生活を送った家族もいた。
同センターは調査を元に、「災害時の発達障害児・者支援エッセンス」を冊子にまとめた。見た目で障害があるように見えないことがあるため、周囲の理解と支援が必要だという。「周囲が本人を大声で叱ったり、取り押さえたりする」といった避けるべき事柄や、指示の伝え方、居場所の配慮など、避難所や自宅での対応例がまとめられている。
支援エッセンスなどの情報が載った「災害時の発達障害児・者支援について」のページへは、同センターのトップページ(
http://www.rehab.go.jp/ddis/
)から入る。
日本自閉症協会も、「防災・支援ハンドブック」と自閉症の人が困った時に支援を求める「助けてカード」を、ホームページ(
http://www.autism.or.jp/bousai/index.htm
)からダウンロードできるようにしている。
同協会によると、今回の震災で、自閉症の人がいる家族の中には、車中泊している人が出てきているという。孤立し、必要な情報が届かない危険性がある。支援に関する問い合わせは「発達障害者支援センターか、地元自治体などに」と話す。窓口の対応で問題が解決しない場合は、同協会事務局(03・3545・3380かメールasj@autism.or.jp)へ。厚生労働省と情報共有するという。(帯金真弓)
■発達障害児・者への支援のポイント(日本自閉症協会「助けてカード」から)
・その人に対して声かけを
(一斉に伝えても伝わらない)
・指示や予定は明確に
・否定的でなく、肯定的に
(走っちゃだめ→歩こうね)
・大声で叱ったりするのは逆効果
・(発達障害の人が)興奮したときは、その場から離して気持ちをしずめる