ワシントンで27日、外交方針について演説した共和党のトランプ氏=ロイター
米大統領選の共和党候補者指名争いで首位を走る実業家のトランプ氏(69)は27日、ワシントンで外交方針について演説し、欧州やアジアの同盟国に財政負担の増額を求める考えを強調した。米国の国益を最優先した「米国第一主義」を掲げ、中国やロシアの軍事力拡大を警戒しつつ、両国との関係改善を模索する考えを示した。
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トランプ氏は、「米国が防衛している国はその経費を払わなければならない。さもなければ、米国はその国を自分たちで守らせる準備をすべきだ」と述べ、日本を含め、同盟国に「財政的、政治的、人的負担」をさらに負わせていく考えを示した。
「私の外交方針は、いかなる時も米国民の利益と米国の安全保障を念頭に置くものだ」と米国第一主義を唱えた。中ロの動向には「急速に軍事力を拡大している」と警戒を示しながらも「敵対すべきではなく、共通の利益に基づいた一致点を模索すべきだ」と関係改善の糸口を探る必要があると語った。
安保政策では「我々の目標は平和と繁栄で、戦争や破壊ではない」と穏健な姿勢を示す一方、選択の余地がなければ軍事力行使をためらわず、国防費も増額する方針を強調。オバマ外交を弱腰だと批判し、過激派の流入を防ぐため、移民政策を見直す考えも示した。(ワシントン=佐藤武嗣)