震度7を記録した熊本地震の前震から2週間。多くの家屋が被害を受けた地区では、下水道の復旧工事が進む一方で、倒壊した建物は、手つかずのままだった=28日午後7時19分、熊本県益城町、福岡亜純撮影
熊本県などでの一連の地震で、土石流や急傾斜地崩壊などの土砂災害が少なくとも同県内54カ所で起きていたことが28日、国土交通省の調査でわかった。同省は県に応急的な対策を求めた。河川では、堤防のひび割れや橋の崩落などを県内計288カ所で確認した。最大震度7を記録した14日の地震から28日で2週間。県内では今も3万人余が避難している。
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同省の緊急災害対策派遣隊(TEC―FORCE)が、震度6強以上を観測した熊本市や益城町など県内13市町村の土砂災害危険箇所(計1155カ所)や県管理の17河川などを調べた。54カ所の内訳は土石流40カ所、急傾斜地崩壊13カ所、地滑り1カ所。ほか77カ所は「巡視などによる警戒が必要」、1024カ所は「降雨の状況によっては注意を要する」とした。
また、14日夜以降の一連の地震で、震度1以上の地震回数が28日、1千回を超えた。昨年に日本国内で観測された1以上の地震回数(1842回)の半分以上。気象庁は28日の会見で「増減を繰り返しながら頻度は低下している」としつつも、「発生前と比べれば活発な状況」として、震度6弱程度の強い揺れに当面は警戒するよう呼びかけた。
同庁によると、長期間震度1以上が続いた例として新潟県の中越地震(2004年)がある。ただ、1千回を超すまで発生から約1年かかったことから、会見した青木元・地震津波監視課長は「一概に比較できないが、2週間でこのペースは速い」と説明した。
熊本県によると、28日午後現在、家屋被害は3万1613棟にのぼり、474カ所に3万3600人が避難している。県が建設を表明した2100戸の仮設住宅について、西原村、益城(ましき)町、宇土市など県内13市町村が建設を要望。県内ではこの日、民間住宅を借り上げる「みなし仮設住宅」や被災家屋の修理費を補助する制度の募集が始まり、震災後の暮らしを立て直す取り組みもスタートした。
県によると、同日現在、震災による死者は49人、災害関連死の疑いは16人。男子大学生1人が安否不明の南阿蘇村では捜索が続いた。