大手電力10社、すべて黒字に
大手電力10社の2016年3月期決算が28日、出そろった。原油安で火力発電の燃料費が大幅に減り、東日本大震災後としては初めて全社が経常黒字になった。震災後、原発が動かず経営が苦しいなどとして7社が料金を値上げしている。原発停止中に最高益を出した会社もあり、電気代の値下げを求める声が高まりそうだ。
10社の燃料費は計4兆5206億円で、前年より38%減った。沖縄を除く9社は原発停止で火力発電に頼る割合が高まり、燃料費低下が収益改善に貢献した。東北、中部の2社は最高益で、北海道、関西、九州の3社は黒字に回復した。
関西は今年、高浜原発を再稼働したが、トラブルや大津地裁の仮処分決定で停止。それでも5年ぶりに黒字を確保した。
昨年、川内原発を再稼働させた九州も、燃料費の削減幅が大きく、再稼働の効果を除いても黒字だった。幹部は「好決算は一時的。玄海原発も動かないと値下げは厳しい」という。原発を持つ他社も値下げには否定的だ。
4月には電力小売り全面自由化が始まった。中でも首都圏は激しい競争が起きており、東電は17年3月期は販売電力量が2・5%減る見通しを示した。広瀬直己社長はこの日の会見で「まだ始まったばかり。お客さんや他社の動きも見て対策をとりたい」と話す。