ソニーが28日に発表した2016年3月期決算は、純利益が1477億円となり、3年ぶりに黒字回復した。大規模なリストラで前年までの不振を脱して業績が回復する一方、新たな稼ぎ頭として期待する半導体事業は収益が悪化した。復活を本物にできるか、正念場を迎えている。
売上高は前年より1・3%減の8兆1057億円、本業のもうけを示す営業利益は4倍以上の2941億円だった。純利益は、前回の黒字だった13年3月期は資産売却効果が大きかったため、事実上は09年3月期から7年続いた赤字体質を脱したことになる。
営業利益は、今後の成長の柱と位置づけるゲーム事業が887億円、音楽事業が873億円といずれも前年実績を上回った。カメラやテレビ事業も、利益が出やすい高価格製品を充実させて利益を伸ばした。記者会見で吉田憲一郎副社長は「商品力、販売力強化の成果が出た」と語る。
痛手だったのは、スマートフォンのカメラなどに使われる画像センサーなどの半導体事業。当初は1210億円の営業利益を見込んでいたが、286億円の営業赤字に陥った。下半期にスマホ市場が伸び悩んで収益が大きく悪化し、資産の評価を一度に切り下げる減損を実施したためだ。吉田氏は「(低成長を)前提に事業を組み立てる必要がある」とした。収益の柱に育て直す課題が残る。(鈴木友里子)