復旧工事が続く中、通行が再開された九州自動車道(手前)。周辺の住宅の屋根には青いシートが目立つ=29日午後、熊本県益城町、朝日新聞社ヘリから、長沢幹城撮影
熊本県などでの一連の地震で、応急危険度判定で立ち入りが「危険」と判断された熊本県内の建物が1万件を超えた。県が29日、発表した。県は同日、西原村と甲佐町で計100戸の応急仮設住宅を着工。6月下旬の入居をめざす。この2町村のほかに益城町など11市町村が建設を求めている。
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熊本県によると、県内の建物の応急危険度判定の結果は28日現在で「危険」が1万871件、「要注意」が1万2362件、使用可能な「調査済み」が1万5731件。29日現在、家屋被害は3万6745棟で、444カ所の避難所で3万629人が過ごす。県は応急仮設住宅2100戸を建設し、みなし仮設2100戸分を確保する方針だ。
着工したのは西原村の木造50戸(敷地面積約7千平方メートル)と甲佐町のプレハブ50戸(同約1万5千平方メートル)。通常の1・5倍の敷地面積を確保し、敷地内に集会所や談話室を造って交流を促し、孤独死などを防ぐ考えだ。
県によると、29日現在、地震の死者は49人。震災関連死の疑いは、車中で避難していて20日死亡した氷川町の女性(73)が加わって17人となった。エコノミークラス症候群(肺塞栓(そくせん)症など)の重症患者は2人増えて44人。男子大学生1人が安否不明となっている南阿蘇村では捜索が続いた。
大型連休初日の29日、九州自動車道の植木インターチェンジ(IC)―嘉島ジャンクション(JCT)間23キロの通行止めが午前9時に解除され、15日ぶりに全線が開通した。大分道の湯布院IC―日出JCT間の17キロは、ゴールデンウィーク明けの5月9日以降に通行止めを解除する見通しだ。
29日午後3時9分ごろには大分県中部を震源とする地震があり、同県由布市で震度5強、別府市などで震度3を観測した。県によると、けが人はいなかったが、JR由布院駅舎のガラスが割れたほか、久大線が一部運転を見合わせた。大分道は一時、通行止め区間が拡大した。気象庁によると、今回の地震はM7・3などを観測した一連の熊本地震の活動の一つ。