続々と運び込まれるがれきを分別する作業補助員の上村茂竹さん=4日午後、熊本県西原村
熊本地震で家屋の倒壊被害を受けた熊本県西原村は4日、村民を雇って震災がれきを仕分けする作業を始めた。分別意識を高め、処理費の節約にもつなげる。東日本大震災の時、同じ方法で大きな効果を上げた宮城県東松島市の職員らが支援に入り、被災地ならではの知恵を村に伝えた。
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災害廃棄物の仮置き場になっている村民グラウンド。がれきがあちこちに積み上がり、4日も廃棄物を満載した軽トラックが次々と到着。村民8人がさっそく手伝い、屋根瓦やコンクリート、家電、金属などを約20種類に分けた。建設業の上村茂竹(うえむらしげたけ)さん(69)は瓦が落ち、雨漏りのする家で妻と暮らす。「自分自身も被災しているが、少しでも村の力になりたい」と黙々と手を動かした。
村民雇用方式を採ることになったのは、復興支援に来た東松島市の元幹部らから東日本大震災の経験を聞いたのがきっかけ。市は当時、被災者約800人を雇って分別を進め、99%のリサイクル率を達成。当初の予定より150億円少ない処理費で済んだという。
壊れた家屋の解体作業が本格化するのに伴い、災害廃棄物は増えていく。村民が作業に携わる中で分別意識が高まれば、災害廃棄物の処理費を抑える効果も期待できる。分別してあればリサイクル品として売れる。仮置き場に張り付く村の職員約20人を本来の業務に戻すこともできる。
村で分別を手伝った東松島市職員の鈴木雄一さんは「仮置き場で分別しておかないと、埋め立てや焼却処理の経費が膨らむ。最初の対応が肝心です」と話す。
村は作業補助員の募集を先月27日から防災無線や避難所の張り出し、インターネットで始めた。日当7千円で雇用期間は8月末までの原則2カ月。村在住で体力、持久力のある人を対象に性別や経験は問わない。約30人を雇う予定で、これまでに20~60代の11人から応募があったという。
村住民課の松下公夫環境係長は「被災者に呼びかけるのは早すぎるという心配もあったが、がれき搬出の始まる今が肝心。自分たちでやろう、という雰囲気が出てくれば」と期待する。(伊藤智章、永野真奈)