地震の時間で止まった美容室の看板時計
地震があった時刻で止まった時計、避難誘導中に津波にのみ込まれたパトカーの部品――。東日本大震災から6年になるのを前に、「もの」を通じてあの日々を振り返る「我暦(がれき)→ガレキ→我歴(がれき)」展が、東京・御茶ノ水の明治大学博物館で開催中だ。「我歴」には、がれきであっても震災を歴史として伝える資料との意味が込められている。
特集:阪神大震災22年
福島県内の博物館などで構成する、ふくしま震災遺産保全プロジェクト実行委員会の主催。メンバーは2014年から県内各地を回り、津波で流されくしゃくしゃになった交通標識や避難所で使われていたろうそく、配達されなかった被災翌日の新聞の包みなど、あの日からの福島を物語る品々を集め、保管してきた。がれきとして処理されれば、震災を伝える記憶が失われてしまうとの危機感からだ。
展覧会は昨年、福島県立博物館などで開かれ、県外では仙台市に次いで2カ所目。「ごく普通の品々が被災したことで、形や意味を変え、非日常を語る歴史資料になってしまった。福島の経験を共有し、次世代へとつないでいくため、『震災遺産』が語る声に耳を傾けてほしい」と県立博物館の高橋満主任学芸員。
2月5日まで。無料。会期中の週末、デジタルアーカイブによる震災遺構の3D体験展示解説会が行われ、22日にはシンポジウム「ふくしまの経験を語る・伝える」がある。(編集委員・宮代栄一)