益城町の災害がれきの集積場に、虹を渡らせた「sho_maa」の作品
昨年4月の熊本地震で被災した若い芸術家らが中心となり、現状を伝えるチャリティー写真展を26日から大阪・南堀江で開く。被害だけでなく、咲いた花や被災者の笑顔、被災前の風景など熊本の魅力も伝える。3月5日まで。
写真家やデジタルアート作家ら、熊本出身か在住歴がある20~50代の12組が参加する。写真展のタイトルにはあえて「地震」を入れず、「旅する、熊本写真展」とした。
呼びかけ人の写真家、川端麻衣さん(35)は、住宅の全半壊が5800棟以上に及んだ熊本県益城(ましき)町に住む。地震の際、周囲の家々が倒壊し、新築の自宅も損壊した。2歳の娘を連れて熊本市内に避難しながらも同町に足を運んで写真を撮り続けた。
壊れた街並みの中にツツジの花が咲いたり、何げなく遊ぶ子どもたちが笑顔を見せたり。被災の厳しさだけではなく、人々の表情や熊本の魅力を伝える写真展を開こうと思い立ち、SNSを通じて被災地の芸術家らに呼びかけた。
同町に住む2人組のデジタルアート作家、sho_maa(ショーマー)の田上翔太さん(26)、吉川美沙都さん(28)も作品を出展。「子ども広場」が災害がれきの集積場になった場所に立ち、虹や地元のスイカなどの画像を組み合わせた作品は「スタート!」と題した。小さくてもたくさんの物が詰まった家を描いた作品もある。吉川さんは「大好きな家が壊れるということが、こんなに悲しいと初めて知った。その大切さを表現した」という。
川端さんは「心配してくれる人に『もう大丈夫』と元気を見せたい。でも、町の現状を見て『大丈夫じゃないんだ』とも伝えたい」と言う。約200点を展示。会場では支援金も募る。大阪市西区南堀江4丁目の「スタジオ ムーエット」で。入場無料。(平井良和)