ヒトの受精卵(胚〈はい〉)を受精後12~13日間、シャーレ(皿)内で培養することに成功したと、米英などの2研究グループが4日付の英科学誌電子版にそれぞれ発表する。これまでは、体外では10日間も生きられないと考えられていた。不妊治療や再生医療の研究に役立つ可能性があるという。
米ロックフェラー大などのグループはネイチャー誌に、英ケンブリッジ大などのグループはネイチャー姉妹誌に論文を発表。マウスの胚の培養で開発した技術を応用し、ヒトの胚を培養液入りのシャーレ内で成長させた。
ヒトの受精卵は分割を繰り返し、5日前後に「胚盤胞(はいばんほう)」という状態になり、胎児や胎盤などになる部分ができる。不妊治療では、この段階までに子宮に戻す。
実験では、子宮に着床する7日目前後から胚を観察。胎児を包む膜や血液を供給する部分になる組織のもとができる過程や、遺伝子の働きを調べた。母胎からの信号がなくても、独自に成長する現象も確かめた。ロックフェラー大などの実験では12日目で成長が部分的に止まったという。