浅い場所でのゆっくり滑りのイメージ
通常の地震と比べてプレート(岩板)の境目がゆっくりとずれ動く「ゆっくり滑り(スロースリップ)」が、海底から浅い所でも起きていることを、京都大の伊藤喜宏准教授(地震学)らのグループが突き止めた。6日付の米科学誌サイエンスに発表した。
間近の津波 災害大国 迫る危機
地震の規模に比べて大きな津波を引き起こす「津波地震」の震源域と重なっており、津波を予測する手がかりになりうるという。
ゆっくり滑りは岩板が数日から1年以上かけてゆっくりと動く現象。海底から深い所では観測されていたが、浅い所は観測が難しいうえ、地震を起こすようなひずみは蓄積できないと考えられていた。
伊藤准教授らは、ニュージーランド沖100キロ付近の海底に水圧計を置いて2014年5月から約1年間、岩板の動きを測定したところ、同年9月に陸側と海側のプレートの境目でゆっくり滑りが発生。陸側プレートの海底が1・5~5・4センチ隆起し、海底から深さ2キロという浅い部分で起こったと推定された。この地域は1947年に津波地震が発生した震源域にあたるという。
伊藤さんによると、ゆっくり滑りの発生場所が、津波地震が起こる候補となる可能性がある。「南海トラフなどでゆっくり滑りを監視することで、津波地震の防災に役立つ可能性がある」と伊藤さんはいう。(西川迅)