「この自然豊かな場所で育ったことに自信をもってほしい」と、地元の中学生たちへの思いを語るりゅうこうじさん。自宅前を線路が通る南阿蘇鉄道は、営業再開のめどが立っていない=熊本県南阿蘇村
地震で大きな被害を受けた熊本県に住むミュージシャンやタレント約50人が、歌で復興を応援する企画を進めている。呼びかけたのは、ロックバンド「C―C―B」の元ドラム・ボーカルのりゅうこうじさん(53)。自身も同県南阿蘇村の自宅で被災したが、「みんなで熊本を元気にしたい」と前を向く。
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熊本地震 災害時の生活情報
りゅうさんは約15年前、体を壊して両親の住む南阿蘇村に移住。地元のイベントなどを中心に活動してきた。
4月16日未明、自宅で大きな揺れを感じた。損壊は免れたが、食器が割れて停電し、両親と3人で車の中で夜を明かした。水も止まり、ロウソクの明かりと近くの水源の水で1週間近くを過ごした。
四季が豊かで、家から見える阿蘇の外輪山の景色が特に好きだった。だが何度も通った阿蘇大橋が崩落し、自宅前を走る南阿蘇鉄道も土砂崩れなどで運行再開の見通しは立っていない。いまも避難所生活をする知り合いも少なくない。
自分にできることは何か――。思いついたのは、歌を通じた支援だった。知り合いの地元テレビ局のディレクターに企画を持ちかけると、熊本にゆかりのある歌手やタレントが賛同。フォークデュオ「H2O」の元ボーカル、中沢けんじさんやお笑いコンビ「くりぃむしちゅー」上田晋也さんの兄で、タレントの上田啓介さんなど約50人が協力してくれることになった。