北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)第1書記は6、7の両日、第7回朝鮮労働党大会で報告し、党の事業や経済、外交、軍事などについての戦略に言及した。2016年から20年までの「国家経済発展5カ年戦略」にも触れた。朝鮮中央通信が伝えた。
正恩氏が示した戦略は、個人独裁を含む従来の北朝鮮の路線を正当化し、継承することを訴えている。核や弾道ミサイルを放棄し、武力挑発を止めるように求めてきた国際社会の反発を呼びそうだ。
正恩氏は5カ年戦略について「人民経済発展のための段階的な戦略」とし、電力の充実や農産物の増産などを指示したが、具体的な数値目標には触れなかった。経済が疲弊しており、数値を出すことに負担感があったとみられる。
正恩氏は外交や安全保障分野で「米国による核戦争の危険を、強力な核抑止力に依拠して終わらせる」と主張。「責任ある核保有国」という言葉を使い、核を放棄する考えが全くないことを改めて強調した。「実用衛星をさらに多く制作し、打ち上げるべきだ」とも訴えた。
正恩氏は、韓国に南北関係の改善を訴えると同時に、米国に「朝鮮半島問題から手を引くべきだ」と主張した。米韓は、北朝鮮が非核化に向けた具体的な態度を示すよう求めており、正恩氏の主張に強く反発しそうだ。
また、正恩氏は、日本に対して「朝鮮半島に対する再侵略の野望を捨て、わが民族に犯した過去の罪悪について反省、謝罪し、朝鮮の統一を妨害してはならない」と強調した。
朝鮮労働党大会は8日も平壌で引き続き、開かれている模様だ。(ソウル=牧野愛博)