法科大学院を受験する人全員に課される共通テスト「適性試験」について、中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)の作業部会は、今後は利用するかどうか各大学院の任意とする報告書をまとめた。受験者数が低迷し、門戸を広げたい大学院側の要望を受けて検討していた。11日の中教審の会議に示す。
文科省などによると、適性試験は法律の知識でなく思考力や表現力を問う内容で、法科大学院制度が始まった当初から実施されている。法曹や大学院の関係者らでつくる委員会が運営し、現在は5~6月の2回。各大学院が主に秋~冬にある入試(小論文、面接など)と合わせて合否判定の材料に使っているが、大学院側からは時期が早くて受験料が2万円超の適性試験が学生確保の障壁になっている、との声が出ていた。
適性試験の利用を各大学院の任意とする時期は未定だが、2018年度実施分からとする案がある。適性試験を利用しない大学院は、学力を客観的に測る筆記試験を独自に実施する必要がある。作業部会は報告書で、この試験について国が指針を作ることも提案している。制度変更後、利用しない大学院が多くなれば、適性試験が廃止される可能性もある。
法科大学院の15年度の受験者は54校で9351人とピークの4分の1以下。文科省が昨年、募集停止を表明していない45大学院に行った調査では、合否判定の際の適性試験の考慮割合が3割未満との回答が半数を超えた。