民家の片付けをするボランティア=13日午前9時54分、熊本県益城町、清宮涼撮影
熊本県などでの一連の地震から14日で1カ月を迎える被災地が、家屋の片付けなどを手伝うボランティア不足に悩んでいる。大型連休(GW)にいったん増えたものの、その後は激減。生活を再開するため自宅を片付けようとする人は増えており、県などは「ニーズは絶えないので引き続き支援して」と呼びかけている。
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熊本市の災害ボランティアセンターでは受け付けが始まった13日午前9時ごろ、作業着姿のボランティア約100人が集まった。この日は個人宅の清掃が主な仕事だった。仙台市青葉区から来た自営業古田努さん(45)は「GW後に数が減ると思って参加した。東日本大震災のときもボランティアに参加した。できることがあれば手伝いたい」と話した。
各自治体の災害ボランティアセンターをまとめる県社会福祉協議会によると、熊本市など多くの自治体のボランティアセンターは4月14日の前震発生から1週間ほど後の22日前後に開設。その後徐々にボランティアは増え、GW中の今月4日は全国から約3600人が集結した。だが、「連休後は学校や仕事が始まり、一気に減った」と県の担当者。雨が降った10日は約500人だった。
多くの住宅が倒壊した益城町は4月30日の731人がピークで5月9日には193人に減った。同町社会福祉協議会の国元秀利事務局長は「今は少し戻りつつあるが、避難所を中心に今後も多くの人に手助けが必要」と話す。4月30日に約1300人が集まった熊本市も、ボランティアが激減。大西一史市長はツイッターで「まだ被災地では多くの支援が必要不可欠です。どうかできる範囲でご支援よろしくお願いいたします」と訴え続けている。
大規模な山崩れが起きた南阿蘇村では12日、164人を募集したが118人しか集まらなかった。1カ所にかける人数を減らすなどして対応している。
一方で、建物の危険度判定が進むにつれ、需要は増加。県社会福祉協議会の角田信也事務局長は「自宅での生活が可能となった人が帰宅し始め、倒れた家具類や倒壊したブロック塀を片付けるなどの作業が増えたため」と分析する。
ボランティア不足の状況について、NPO日本災害救援ボランティアネットワーク理事長で阪大大学院の渥美公秀教授は「地震の直後から地域を限定せずボランティアを集めた方が良かった」と指摘する。
熊本県内では当初、余震が続くことや交通状況が悪いなどの理由でボランティアの募集範囲を県内や九州内に限定した自治体が多かった。蒲島郁夫知事も12日の定例会見で「熟練ボランティアは当初から入ってもらったほうがいい。どんどん進めてもらったらよかった」と話した。
渥美教授は「被災地ではやることがいくらでもある。被災者の要望の把握や行政との連携、マッチングなどにこだわらず、ボランティアに入ってもらってすぐに仕事に取りかかってもらった方が早い」とし、「今後は長期的に広くボランティアを確保する計画が必要だ」と話す。
県社会福祉協議会は、「時間のある人はぜひボランティアに来てください」と呼びかけている。最新情報は同協議会のホームページ(
http://www.fukushi-kumamoto.or.jp
)で。問い合わせは各社会福祉協議会か県災害ボランティアセンター(096・342・8266、午前9時~午後5時)へ。